前回はカメラの写るための基本を話しました。
フレーミングは写真撮影のファーストステップです。そのため、ほとんどのカメラがファインダーあるいはそれに相当するものを装備しています。
今回はデジカメのスクリーンをスコープ外にして、ビュー専用のファインダーにフォーカスします。ファインダーの種類、構造、それぞれのメリットデメリットを紹介します。
カメラのファインダーは下の分け方ができます(カッコ内はそのファインダーを使う典型的なカメラ)。
- 電子ビューファインダー(ミラーレス)
- 光学ビューファインダー
- ミラーあり(一眼レフ)
- ミラーなし(レンジファインダー)
- ハイブリッドビューファインダー(富士フィルムX100シリーズ)
電子ファインダー
EVF(electronic view finder)とも呼ばれます。デジタルセンサーでビデオを撮っているようなイメージです。
ライカM、Bessaを除くほとんどのミラーレスカメラ、ソニーデジタル一眼カメラ(α二桁シリーズ)、高級コンデジのファインダーが電子ファインダーです。
初期のEVFは反応が遅く、解像度も低かったため、光学ファインダーに圧倒されました。しかし、ここ数年ではかなり進歩していて、有機LEDの採用もあって、上の問題をかなり解消しています。
EVFのメリットは「見えているものが得られるもの」です。露出補正をしたり、フィルターを適用したりすると、ファインダー内にすぐ反映できます。特に暗いところでもはっきり見えるところは光学ファインダーより優れています。加えて、ヒストグラムなどの情報も確認できるので、ファインダーとしての役割は十分果たせます。
デメリットは上に述べた反応が遅いことと解像度以外、電池消耗の問題があります。光学ファインダーはバッテリーを食わないので、その点はどうしても劣ってしまいます。
今のEVFは十分使えるものに進化していると思います。最近のパナソニックSR-1やニコンZ6の電子ファインダーはEVFと思えないほど本当にきれいです。
光学ファインダー
OVF(optical view finder)とも呼ばれます。光学部品を使って、ビューを届けるのが光学ファインダーです。
ミラーあり
カメラの原型であるカメラオブスクラ(Wiki)にはすでにミラーがありました。
ミラーの反射を利用したファインダーはカメラオブスクラのような上から覗くタイプ(ウェーストレベルファインダー)と平行して覗くタイプ(アイレベルファインダー)があります。後者が普段目にしている一眼レフの出張っている頭の部分です。中には光学部品のペンタプリズムが入っています。
ミラーから反射された像は左右反転になっているので、ペンタプリズムを通すことで正しい像になります。これもミラーなしと比べたときのメリットです。
逆にデメリットとして、部品が多いことによるコスト増と、ミラーがあるからボディが薄くできません。ミラーの上げ下げによる振動や下で詳しく説明するブラックアウトの問題もあります。
ミラーなし
ミラーを使わない、レンズからの光ではなく、別の部分に窓を開けたイメージです。ライカMなどのレンジファインダーカメラやチェキのようなインスタントカメラがこの方式のファインダーを採用しています。
このファインダーのデメリットは、見えているものと実際写っているものに差が生じることです。しかも、被写体が近ければ近いほど顕著になります。
一方メリットもあります。ミラーがないので、ボディが薄く、軽量にできます。あと、ブラックアウト(一瞬何も見えない状態)の心配もありません。電子ファインダーはセンサーからの情報を写しているので、※シャッターを切ったタイミングでは何も写らないです。一眼レフもミラーを上げないといけないから、ブラックアウトが発生します。
光学ファインダーのメリットは遅延がないことと解像度の問題がない以外、バッテリーを消耗しません。一眼レフはだいたいミラーレスより撮影可能枚数が多いのはそれが原因です。
※ローリングシャッターの場合はブラックアウトしない
ハイブリッドファインダー
富士フィルムのX100シリーズが唯一このファインダーを採用している機種です。
電子ファインダーとミラーなしの光学ファインダーの切り替えができる面白い仕組みになっています。
まとめ
現在のカメラ市場はどんどんミラーレスにシフトしています。便利の面で言うと、電子ファインダーのほうが上だと思います。解像度が上がっていて、遅延も少なくなてきているので、ファインダーの理想型は電子ファインダーではないでしょうか。
ただ、もの遊びにおいては光学ファインダーがいろいろとおもしろいです。ペンタックスM-Eの巨大なクリアなファインダーを覗いたときの感動は今でも覚えています。ハッセルブラッドの明るいピントガラスは見ているだけでも楽しいです。ツァイスの21mm外付けファインダーは目が見ている世界より明るいビューを見せてくれます。
ファインダーはフレーミング以外、フォーカスも関連しています。マニュアルフォーカス(MF)が主流の時代は、ファインダーでピントを合わせていたのですが、今はほとんどオートフォーカス(AF)なので、AFの基本方式を次回のテーマにします。MFとファインダーの関連は番外編ということで、また今度にします。
では、楽しいカメラライフをお過ごしください!
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