オートフォーカスの方式

カメラのオートフォーカスに一番よく採用される方式は二つあります。コントラスト検出方式と位相差検出方式です。

速度と精度ので面で比較して、次の表になります。

コントラスト検出位相差検出
速度遅い速い
精度高い低い

それぞれどのような仕組みで、どんなカメラで使われているのか、どういう仕様で優劣を判断するのかを解説します。

おまけに、昔のカメラで採用されたこの二つの方式以外の方式も簡単に紹介します。

コントラスト検出方式

まず仕組みを解説します。レンズを前後させながら、ビューの上指定している領域のコントラストが最大になったときレンズの移動を止めます※。

※ 厳密にはレンズではなくてもいい

「前後させながら」だから、コントラスト検出方式は遅いです。レンズを前または後ろに移動させて、コントラスト増えたら、もう少しその方向に動かします。逆にコントラストが減ったら、反対方向に少し動かします。要は試行錯誤しながら、ピントを探しているイメージです。

コントラスト検出
コントラスト検出、1〜6回レンズを動かす必要がある

スマホカメラやミラーレスカメラで使われています。デジタルセンサーがあれば簡単にコントラスト検出方式のオートフォーカスが実現できます。

センサーの上にコントラスト検出用のピクセルがあります。それの数が多ければ多いほど、オートフォーカスできる領域が広いです。例えば、下の図のような端っこにあるところにもピント合わせができます。

右下の端っこにもピントが合わせる

位相差検出方式

仕組み上、コントラスト検出方式との違いは「試行錯誤しない」ことです。定まった方向にしか走りません。

位相差検出方式はピクセルの前のマイクロレンズを利用して、ピントがいき過ぎたかどうかを判断します。その判断の根拠となるものが「位相差」と呼びます。レンズの往復運動が必要なく、どちらの方向に走ればいいのかがわかるから、速度は速いです。より詳しい解説はこちらの記事(外部)をご参考ください。

ただ、マイクロレンズの精度や位相検出の精度が悪いと、ピント合わせの精度も悪くなります。シンプルに考えると、部品が増えて、システムが複雑になったので、精度が落ちたということです。

位相差検出方式は一眼レフ専用という時期もありましたが、今ではミラーレスや高級コンデジにも搭載されています。コントラスト検出と位相差検出のハイブリッドが多く、いいとこ取りで、うまくトレードオフを解消しています。

(実際、一眼レフとミラーレスの位相検出機構が違います。完全にAFの性能を追求するなら一眼レフが有利です。スポーツの報道カメラマンがほとんど一眼レフを使っているのはこれが一因です。)

コントラスト検出方式と同じく、一部のピクセルを位相差検出に使うので、その数とカバーする範囲が大事です。

一眼レフに限定しての話ですが、位相差検出は「一」の字のタイプと「十」の字のタイプがあります。「一」の字のタイプは縦方向の検出、「十」の字の方は縦と横両方向の検出ができます。当然、「十」の字が速くかつ精度が高いです。

アクティブオートフォーカス方式

上のオートフォーカスは何かを検出するパッシブ方式ですが、超音波や赤外線を出すアクティブ方式もあります。

ソナー

ポラロイドのSLR-680(1978)から搭載されたオートフォーカス方式です。

コウモリのように超音波で測距しているので、暗いところでもピント合わせが可能です。ただ、反射から距離を計測しているため、誤動作も起こりやすいです。

ポラロイド
680の後継機ポラロイド690

赤外線

コンパクトカメラに搭載されていたオートフォーカス方式です。

超音波を発射するする代わりに、赤外線を出します。ソナーと同じような誤動作の問題もあります。黒い物体に赤外線が吸収されたり、赤外線を発射している被写体(蝋燭など)に惑わされたりする欠点があります。

メリットもあって、フラッシュの扱いが簡単になります。それがフィルム時代のコンパクトカメラに採用された原因だと思います。

この方式のAFを搭載した有名な機種はコンタックスT2やT3です。

まとめ

カメラに使われるオートフォーカスの方式を紹介しました。

現在主に使われているコントラスト検出方式と位相差検出方式の比較をして、それぞれの仕組みやメリットデメリットを解説しました。ミラーレスのほとんどがハイブリッド方式を採用している今では、AF性能をチェックするとき、レンズのモーターが一層重要になってきました。

では、楽しいカメラライフをお過ごしください!

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