富士フィルムGF670:最後にして最高の中判蛇腹フィルムカメラ

中判フィルムカメラを言ったら、何を思い出しますか?

ハッセルブラッド500やペンタックス67のような一眼レフ、ローライフレックスのような二眼レフを浮かべる人が多いでしょう。

しかし、蛇腹カメラの存在も忘れてはいけません。携帯性に優れて、折り畳むと、簡単にカメラバッグに入れます。

2007発売の富士フィルムGF670はおそらく最後の蛇腹中判カメラとして、歴史にその名を残すことでしょう。(実際日本カメラ博物館に展示されている)

GF670は電子制御シャッターのレンジファインダーカメラです。もちろん絞り優先モード搭載で、露出補正もできます。クリアかつ明るいファインダーを備えて、6×6と6×7の2種類のフォーマットが切り替えます。中判フィルムカメラのジャンルにおいては最高の機能を誇ると言えます。

このカメラは大変の人気機種です。2013年購入して、一度手放しましたが、2014年に生産中止となって、かなりの値上げになりました。デジタルカメラと一緒に持ち出せる手軽さをどうしても欲しくて、2018年中古品を手に入れました。当時と比べて、5万円ほど高くなって、現在の相場は20万円前後です。

手軽さだけではなく、フジノンレンズの描写も現代レンズらしく、コントラストが高く、非常にシャープです。特にリバーサルフィルムを使ったときの絵作りが好きです。

富士フィルム Velvia 100F

1年くらい使って、トルコまで持ち出しました。フィルム中判カメラにありがちの光線漏れやフィルムコマのダブりのような症状は一切なく、安心かつ簡単に使えます。

中判フィルムカメラの初心者にとっては一番使いやすいカメラだと思います。

外観

シルバーとブラックの二色あります。前持っていたのがシルバーで、現在はブラックです。

ボディ自体は金属製ですが、少しチープな感じがします。シルバーのほうは表面がざわざわしていて、ブラックのほうは半艶消しのようなペイントです。

全体的にいかにもレンジファインダー風で、ファインダー、距離計窓、フレーム窓が正面の上部に配置されています。

正面の扉を開くと、蛇腹が展開され、レンズが撮影位置にセットされます。

軍艦部にはシャッタースピードか絞り優先を切り替えるダイヤルが左(後ろから見て)にあって、右に巻き上げダイヤルがあります。レバーではないため、連写性は0です。おそらくデジタル時代には、フィルムを大切に使おうと富士フィルムが思ったのでしょう。個人的はこのデザインが好きです。

絞り優先モードのとき、±2EVの露出補正ができます。

後ろのバックドアにフィルムの種類を表示する紙が挿せます。右側の小さいレバーを引くと、バックドアが開けて、フィルムが入れられます。

バッテリーは本体の底に入れます。コインで電池蓋を回して開けます。使用する電池はCR2一本です。

ストラップをつける耳は正面から見て右側で縦に並んでいます。

操作

フィルムの入れ方はペンタックス67と似ています。バックドアを開けると、下の左右にある赤いボタンを押して、固定用の丸いひっかけが出ます。フィルムを左側の溝に入れて、フィルム紙の先端を引いて、右側にあるフィルム軸に差し込みます。フィルム紙に書いてあるスタートラインが指定位置に来るまで巻き上げダイヤル回し続けます。バックドアを閉じて、回せないまで巻き上げダイヤルを回して、フィルムのセットが完了です。下の動画も合わせてご参考ください。

GF670のフィルムの入れ方

ISOはシャッタースピードダイヤルを持ち上げて回すと設定できます。

蛇腹を開くのは簡単で、プラスチックの止めを持ち上げるだけです。閉じるときは必ずレンズの焦点距離を無限遠まで戻してからやります。止めを持ち上げて蛇腹をたたみます。

中判カメラなので、それなりの大きさがあります。なので、グリップは大きくないが、ホールドするには十分です。

ファインダー

GF670のファインダー 二重像

GF670は距離計連動レンジファインダーカメラです。ファインダーはライカに劣らぬほどクリアで見やすいです。二重像もコントラストが高く、フォーカスが楽です。ただ、少し覗く角度がずれると、二重像が見えにくくなる場合があります。逆光のときはさすがにライカM7とかにはかなわなく、かなり見づらいです。

6×6と6×7の二種類のブライトフレームがあって、フォーマットによって自動的切り替えることができます。

絞り優先のとき、ファインダーの中にはシャッタースピードが表示されます。シャッタースピードが設定されると、露出オーバーかアンダーかの表示があります。

シャッター

電子制御のレンズシャッターです。最高速度は1/500秒です。機械式シャッターを好む人もいますが、電子制御ならではのよさとして、とても静かかつ精確(リバーサル好きな私には朗報)です。使いやすさなら電子制御で、遊び心を満たしてくれるのは機械式です。

振動が極めて少ないおかげで、私の手持ちで使えるシャッタースピード上限は1/8秒です。

レンズ

このフジノン80mm F3.5レンズは4群6枚の対称型構成です。EBCコーティングが施されています。中央から周辺に渡って、画面全体が極めてシャープです。

F8.0までが円形絞りで、ポートレートにとってはいい知らせです。

富士フィルムのフィルムと組み合わせると実に最高の絵作りになります。これもフィルムメーカーならではの強さです。

ギャラリー

リバーサル

全部富士フィルム Velvia 100Fで撮影したものです。

カラーネガ

富士フィルム PRO400
富士フィルム PRO400
コダック Potra400
コダック Potra400

モノクロ

コダック 400TX
コダック 400TX
コダック 400TX

まとめ

富士フィルムの公式サイトを確認したら、シルバーのGF670は生産中止にはなっていないらしいです。でも、新品で売っているところが見つからなくて、噂だと小ロットの受注生産らしいです。

最近フィルムが復活しつつあるので、いつかGF670の後継機が出ることを期待します。そのときはこの記事のタイトルを変えなきゃいけなくなるけどな…

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