フォクトレンダー ノクトン40mm 1.2VM Aspherical:

Voigtländer 40mm 1.2 Aspherical

夢の大口径レンズと言ったら、私はまずライカのノクチルックスを思い浮かべます。

50/1.2、50/1.0、50/0.95、この三本のレンズはカメラマニアにとって、いつかは手に入れたい名玉です。

Noctilux家族1.2 1.0 0.95

が、その代償として、一番安い50/1.0の中古品でも50万円かかります。

9万5千円強で、上のノクチルックスの1/5の値段で、9割以上の性能を実現できたのはフォクトレンダー Nokton 40/1.2 と50/1.2 です。

さすがに同じくノクト(ラテン語で「夜」)の名を冠していることもあって、F1.2の明るさはくらいところでも堂々と撮影できることを保証します。

MマウントとEマウントの2バージョンありますが、マウントアダプター経由でMマウントの方がオートフォーカスできます。「操作」のセクションで詳しく話します。

個人的な好みで、Mマウントの広角寄りの40/1.2のほうを所有しています。視角が50mmよりやや広いことが意外と日常の撮影で便利です。

西芳寺(F=1.2)

私は特にこのレンズに愛着があって、おそらく今まで所有したレンズのなかで一番出場率が高いです。

コンパクトで明るく、金属製のしっかりした鏡筒、ビンテージレンズらしい美しい外観に非常にスムーズなフォーカスリングも備わっています。

賛美はここまでにして、外観、性能、操作で見ていきましょう。

外観

クラシックレンズらしい洗練された外観

フォクトレンダーのノクトンシリーズの外観を踏襲しています。

315gで、クラシックレンズらしく、小さく、かわいらしいサイズにまとまっています。下がソニーFE50/1.4との比較です。

FE50/1.4と40/1.2VMのサイズ比較

マニュアルレンズのため、フォーカスリングと被写界深度目盛りがあります。フォーカスリングには溝がほられ、手に馴染むような作りになっています。

レンズの長さは無限遠の時が43mmで、0.5m(最短撮影距離)になると46mmくらいになります。ライカのようなレンジファインダーを使うとき、気にならない程度のファインダーブロックになります。

性能

開放F1.2の時のパフォーマンスをまず見ましょう。使用しているカメラはソニーのα7RII(4200万画素)です。

解像度

中心の解像度が十分すぎるほど高いです。昔ノクチルックス50/1.0を使った時の驚きを思い出します。このレンズのコンパクトさからはとても信じられないくらいの性能です。やはり2枚の非球面レンズが功を奏したと思います。

中心部の解像度がかなり高い(F=1.2)

周辺の解像度は普通のレベルで、大口径レンズの平均水準です。F1.2を使うときって、ほとんどの場合は周辺がボケているので、あまり困らないです。

周辺部分の解像度は普通(F=1.2)

余談ですが、最近シグマのArtやツァイスのOtusとかは逆望遠的なレンズ構成で隅の解像度まであげました。その分、レンズが非常にデカ重くなっているので、賛否両論ですね。

色収差

色収差についてはまずまずといったところです。倍率色収差はやはり顕著で、特に高コントラストな境界線でパープルフリンジが目立ちます。低分散レンズが使われていないから、仕方ありません。自分はリタッチでそれらを除去しています。

写真の中心部の切出し。倍率色収差が目立ち、左の部分は紫、右の部分は緑(F=1.2)

あとフレアですが、今ときのレンズはだいたい問題にならないですね。コーティングがしっかりしているので、ほとんど見たことありません。

F1.4に絞ると、若干解像度や色収差が改善されます。F2.0まで絞ると、だいぶ良くなります。やはり今でも1.4が一つ大きな壁ですね。

ボケ

大口径レンズを楽しむもう一つの要素がボケです。クラシックレンズらしいクリームのように溶けて、ドロドロしたボケです。アウトオフフォーカスがふわっと広がっていって、滑らかな移行が見られます。

アウトオフフォーカスが滑らか(F=2.0)

絞りバネが10枚のおかげて、少し絞っても、円形に近いボケが得られます。

が、非球面レンズを使用した副作用もあって、年輪ボケやレモン型ボケが周辺に見られます。必ずしも悪いわけではないですが、個人的にはノクチルックスのボケが好きですね。

年輪ボケやレモン型ボケ(F=1.2)

操作

フォーカスリングが非常にスムーズです。オールドレンズならではの楽しみです。フォクトレンダーのフォーカスリングが実に素晴らしく、ライカのレンズにもゆずらない程よい抵抗です。

絞りリングには適度なトルコがあって、1/2ステップの刻みになっています(1.2→1.4→1.8→2.0…)。

アダプター経由でソニーα7RIIに装着して使っています。そうすると、なんとオートフォーカスができます!この組み合わせでオートフォーカスできたとき、嬉しすぎて叫んだりした記憶があります。

マウントアダプター経由でソニーα7RIIに装着した様子

マウントアダプターを詳しく知りたい方はことらの記事を読んでください。

クレージー比較:VS ノクチルックス50/1.0 E60

クイズです。↓のA、Bどちらがノクチルックスで撮ったのでしょうか?

A
B

答えはAです。

ギャラリー

ジャズバーでのワンカット(F=1.2)
黄昏の貴船神社(F=1.2)
川崎ウェアハウス(F=1.4)
屋久島(F=5.6)
京都高台寺近く(F=1.2)

フィルムでの表現もなかなかすばらしいです。

Fujicolor100

基本仕様

焦点距離40mm
口径比1 : 1.2
最小絞りF22
レンズ構成6群8枚
画角55°
絞り羽根枚数10 枚
最短撮影距離0.5m
距離計連動範囲∞~0.7m(カメラにより異なる)
最大径×全長φ60.8×43.3mm
フィルターサイズφ52mm
重量315g
レンズフードLH-8(別売)

まとめ

フォクトレンダー40mm 1.2 Asphericalを外観、性能、操作の三つの面で紹介しました。

私にとって、大口径レンズは常に魅力的な存在です。このレンズがもたらしてくれたF1.2の世界は確かに違います。もう「空気感」という言葉しか思い浮かべないです。

このレンズと一緒に何回旅をしたんでしょう。街のありふれた景色からポートレート、白昼の高原から夜中の教会まで、私を失望させたことはありませんでした。これからもこのレンズを使って、人生の断片を捉えていくことに違いありません。

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