フィルムスキャナーレビュー:エプソンGTX900シリーズ

エプソンGTX900シリーズはA4フラットベッド型のフィルムスキャナーで、エプソンのフラッグシップ機です。現行品のGT-X980の価格は57000円くらいです。

GT-X980
GT-X900シリーズ現行機種:GT-X980

エプソンGT-X900シリーズの特徴は大きく3つあります。

  • 135から大判の8×10まで幅広いフィルムサイズに対応
  • この価格帯の他の機種より画質がいい
  • フィルムスキャンの専門ソフトSilverFastが使える

上の理由で、フィルム愛好家の間で根強い人気があります。

2006年発売のGT-X900から、マイナーチェンジのGT-X970を経て、現行のGT-X980(2014年発売)まで、細かい改善をしつつ、フラットベッド型の中ではトップの性能を維持しています。実にロングセラーとなっています。

私は最初期のGT-X900を愛用しています。買ったのは2014年で、5年使い続けています。

この記事は5年間の使用体験に基づくレビューです。画質の面では現行品と同じスペックなので、サンプル画像を参考にできると思います。

このシリーズのスキャナーの性能を引き出すためのノーハウも合わせて紹介します。フィルムスキャナー選びのイロハはこちらの記事をご参考ください。

画質面

900シリーズの三機種は画質面に関係するスペックは基本同じです。現行品のGT-X980がLEDを使用するようになったのですが、画質への影響を感じません。

ダイナミックレンジ:4.0

4.0のダイナミックレンジはPlustek 8200のようなフィルム専用型より高い(4対3.6)です。極端に露出オーバーやアンダーしない限り、実用十分です。

以下はリバーサル、カラーネガ、モノクロのスキャンサンプルです。当時は静岡に住んでいたので、富士山が撮れるのは幸せです。

Provia 100F
Provia 100F 影のトーンの再現がきれいにできている
Ektar 100 
Ektar 100 富士山の冠雪に白飛びがない
Ilford 50
Ilford 50 高コントラストのシーン、若干白飛びはあるものの、モノクロの階調は豊か

実用解像度:2600dpi

GTX900シリーズのは最高解像度は6400dpiです。実用レベルの解像度は2600dpiくらいで、35mmカメラの1コマなら、800万画素の画像が得られます。6×6の120フィルムスキャニングなら、3600万画素になります。

ツァイス25mm F2.8 ビオゴン+ TMAX100
ツァイス25mm F2.8 ビオゴン+ TMAX100
135フィルムも十分シャープな結果

135フィルムのスキャンはフィルム専用型に及ばない(例えばPlustek8200は3600dpiまでが実用レベル)ものの、これから中判や大判もやってみたい方には一台で済む便利さはあります。

アンブロタイプ湿板写真、5x7インチのガラスプレートのスキャン
アンブロタイプ湿板写真、5×7インチのガラスプレートのスキャンもできる

filmscanner.infoより解像度のテスト結果を載せます。左の画像が4800dpiでスキャンした結果です。縦のラインが5-6まで、横のラインが5-4まで分別できます。実用解像度に換算すると、2600dpiになります。右の画像が6400dpiでスキャンした結果で、解像度の向上は見られません。

解像度テスト

ユーザビリティー

スキャンスピード

スキャンする前にプレビューする必要があります。全体を低解像度でスキャンすると同じイメージです。200〜300dpi(あるいは「自動」に設定する)でプレビューした場合、10s前後かかります。

プレビューは低解像度で全体スキャン(↑SilverFastのキャプチャ)

スキャンのかかる時間は解像度設定によって違います。35mmを2600dpiでスキャンする場合、一枚あたり50s前後です。6×6を2600dpiでスキャンする場合は1min40sくらいです。

ICEの有り無し、パソコンのスペックなどの条件によって、かかる時間が変わりますが、大きなズレはないでしょう。参考にfilmscanner.infoのテストしたスキャンスピードを抜粋します。

ProcedureICEなし(EpsonScan)iSRDなし(SilverFast)ICEあり(EpsonScan)
プリントのプレビュー0:11 min0:06 min
フィルムのプレビュー0:24 min0:30 min
35mm@2400dpi0:44 min0:39 min2:04 min
35mm@4800dpi1:16 min1:03 min2:58 min
35mm@6400dpi1:41 min1:23 min3:21 min
6x6cm@2400dpi1:15 min1:34 min4:29 min
6x6cm@4800dpi2:17 min2:48 min8:23 min

※SilverFastはフィルムスキャンの専門ソフトです。EpsonScanより高品質なスキャンができます。詳しくはこちら(作成中)

ICE

900シリーズはハードウェアICE機能に対応しています。スナップショットとかの場合はソフトウェアでonにすることをおすすめします。

フィルムホルダー

GT-X900シリーズの機種による一番の違いはフィルムホルダーです。が、汎用性があって、全部のフィルムホルダーは三機種とも使えます(オフィシャルサイトではそう言っていないが、実際使えた)。

GT-X970からフィルムホルダーの高さ調整機能が追加されました。フラットベッドスキャナーは固定フォーカスのため、細かいピント調整ができるなので、歓迎すべき改善です。

GT-X980からはフィルムのたわみをなくすため、アンチニュートンアクリル板のついたホルダーになりました。しかし、このアクリル板は画質を大きく損なうため、旧バージョンのホルダーを使ったほうがいいです。

この画質劣化問題はこちらのブログとfilmscanner.info両方から言われているので、ご参考ください。

旧バージョンのホルダーにも問題があります。上にも言ったフィルムのたわみです。違う長さのコマに対応するため、フィルムスリーブを周りからしか挟めなくて、たわみが出てしまいます。

GT-X970のフィルムホルダー、たわみが出やすい

特に120フィルムの場合がひどく、ピントが甘くなって、スキャンした画像がぼやけて見えるのです。

それを解決するために、コマの間にバーの入った金属ホルダーを特注して使っています。下のようなものです。

元のプラスチックホルダーのカバーを外して、二枚の金属ホルダーを載せる
6×6の120フィルムスリーブをスキャンする

二枚のホルダーを使うことで、フィルムを真ん中でしっかり挟まれるので、たわみが出ません。135フィルム対応のものも同時に入手しました。使いやすく、フィルムをホルダーにセットする作業がかなり楽になりました。

この金属ホルダーの唯一の欠点は違うフィルムコマサイズに対応できず、何種類かを用意する必要があります。例えば6×7のためのものや6×4.5などが要ります。厳密にはコマの間の間隔もカメラによって違いますが、完璧を求めたらキリがないです。

※この金属ホルダーが欲しい方がいらっしゃいましたら、コメントよりお問い合わせください。

まとめ

エプソンのGT-X900シリーズは本格的にフィルムを楽しみたい方に向いています。いろいろいじったり、設定を変えたりすることのできる、かなり楽しいスキャナーです。

一方、ポテンシャルが高いため、一番いい結果に至るまでの道も長いです。今回はハードウェアの紹介がメインですが、フィルムのスキャンはソフトウェアも大事です。

EpsonScan、SilverFast、VueScanの使い方や比較はまた今度にします。

では、楽しいカメラライフをお過ごしください!

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