なぜこのスマホでも簡単に写真撮影ができる時代に、わざわざフィルムという過去の遺物に立ち戻るのでしょう?
この記事に行き着いている以上、何かしらの答えを持っているではないでしょうか。
それはフィルム写真の発色なり、モノクロ写真のトーンなり、フィルムカメラのクラシックな外観など様々あるでしょう。
あるいは、すでにフィルムカメラを使っていて、そのデメリットとメリットの間で徘徊して、やめるか否かを躊躇しているかもしれません。
フィルムとデジタルの比較はデジタル写真が誕生してから絶え間なくされてきました。
この記事はその議論にもう一筆くわえるためのものではありません。
ただ、この7年間フィルム写真を撮り続け、そしてフィルムを愛し続けてきた私なりの理由を聞いて欲しいです。
フィルム写真は違う
私はデジタル一眼レフでカメラに入門して、一年も経たないうち、フィルムカメラ写真の世界に入りました。
そして今でも忘れないこの一枚の写真がきっかけです。
リバーサルフィルムの大先輩であるコダッククロームを使って撮影されたものです。
これは違うと一目でわかりました。
鮮やかな緑色とスカーレット、何より油絵のような重厚感がスクリーン越しでも体感できます。
もし本当のフィルムを眺めているんだったら、と思わずにいられません。
私たちを直視しているその目からは何をみてとれるでしょう。深い悲しみ、孤独、怒りと恐怖、どれも平和な毎日を送っている私とはかけ離れた感情です。
それをこうも生き生きと伝わってきます。フィルム写真は確かに違います。
記録を超える表現
ここでいう「記録を超える表現」はフィルムを使ったら、特別な表現ができる、という意味ではありません。フィルムカメラ写真は私たちの思考をより表現に近づけてくれる話なのです。
写真はだいたい記録と表現という二つの役割があります。この両者は同じ階層にあるのではなく、記録を果たした上に表現というのがあると思います。
この二つの役割を果たすため、つまり、よりよい写真を撮るために、カメラやレンズをアップグレードしていきます。
それは速いオートフォーカス、マクロレンズなど写真撮影をよりしやすくするためのものになります。
フィルムからデジタル、一眼レフからスマホ、便利さや使いやすさを私たちは追い求めてきました。
その結果、記録としての写真は今ほどあふれたことはないでしょう。
一方で、表現としての写真は記録を超えて他人にメッセージを伝えるためのものです。それは私たちがカメラを手にしている最大の理由のはずです。
機材の進歩は表現の可能性を大幅に広げました。高速写真、低速度撮影などがその例です。私たちが普段、見なれなかった世界を届けて、その美しさを伝えます。
しかし、あまりにも広い可能性の前に、本当に伝えたいものを見失ってしまう可能性もあります。
ひたすらシャッターを押していき、今の機材じゃ撮れないと理由づけて、新しいものをどんどん買ってしまいます。
実際私がそうでした。増えていくレンズは「どれを持ち出せばいいか」という悩みを深めました。
「本当に何を表現したいか」に立ち戻るため、写真撮影のプロセスを一ステップずつじっくり考える必要があります。
フィルムカメラ写真は確かに手間がかかります。一本一本のフィルムはお金がかかります。それゆえに、考えもさせてくれます。
フィルムを無駄にしたくないから、本当に表現したいものでなければ、シャッターを押さないです。逆に本当に表現したいものに対しては、真剣になっていきます。
露出、被写界深度、構図、全てを熟慮したうえでシャッターを押します。写真の基本要素に対する理解を深めたことで、技術が上達します。
「Simple is the best」。道具にしばられるからこそ、人間は頭を動かします。少なくとも、自分はそうでした。
今の私は、デジタルカメラでさえパシャパシャ押さなくなってきました。記録を超えて、自分なりの表現をしようとすると、機材より、じっくり考えることが大事です。
それはフィルムカメラ写真が教えてくれたのです。
遊び心
フィルムカメラは楽しい!
写真の歴史において、フィルム時代が圧倒的に長いです。いろんなカメラ、レンズ、アクセサリーがありました。
フィルムをマガジンに入れて、1枚目までノブを巻いて、シャッターをチャージして、ピントを合わせて…一連のプロセスは似ているものの、操作が全く違うのです。
それは遊び心を満たしてくれます。
そういえば、レンズとフィルムの組み合わせもおもしろいですが…
言葉の無力さを感じてしまいました。「名機の肖像」というBSテレのシリーズものがあります。Youtubeにもでていますので、そのうちの一話をまずみてください。
まとめ
インスタで「フィルムカメラで撮った写真です」と言ったら、友たちから一目置くになるでしょう。
フィルムのデジタル化はこちらの記事を読んでください。
デジタル時代のフィルムカメラ写真は趣味として存在し続けていくと信じています。
一度倒産したコダックも立ち直り、リバーサルフィルムE100Gを復活しました。
余談ですが、同じアナログのレコードも最近伸びています。
では、楽しいカメラライフをお過ごしください!
コメント