秋分も過ぎてもまだまだ気温が高いと感じる東京ですが、曼珠沙華が咲いてるのを見かけるようになりました。
「一面に咲いてたらきれいだろうな」と心底のどこかで思ったかもしれません。まさか本当に曼珠沙華の公園があるとは知りませんでした。
何せ「彼岸花」だし、不吉です。
だから巾着田という聞いたことのないところに、曼珠沙華公園があると教えてもらったとき、逆に興味が湧いてきました。
「彼岸」に行こう、もう秋ですから。
巾着田
池袋から西武秩父線に乗って、1時間くらいで埼玉県日高市の高麗駅につきました。
駅から出た瞬間、駅前に立っている二本の柱に目を奪われました。
「地下女将軍」って何だ?

後ろに回って、説明が書いてありました。
このあたりは8世紀に渡来してきた高句麗の人々の村落だったのです。この二本の柱は「将軍標」といって、朝鮮半島で魔除けのための境界標らしいです。
案内に従って、10分くらい道をくだっていくと、巾着田曼珠沙華公園に到着します。満開の季節だけあって、入場券300円かかります。三脚は禁止です。
曼珠沙華公園

道沿いから奥深くまで、曼珠沙華がいっぱい咲いています。赤の絨毯でも敷いたかのように、満遍なく一色に染まっています。
私の手にはライカM6とフォクトレンダー 40/1.2、首からはα7RIIとFE85/1.8を下げています。フィルムはフジカラー100を装填してあります。
普段花や昆虫を撮らない私はマクロレンズを持っていません。園内の「写真仲間」たちがでかいレンズを持ったり、接写専用の丸いストロボまでつけている人すらいました。うらやましく思いますが、やはり重い器材は自分に向いていません。
レンジファインダーで花を撮るには勇気がいります。近距離が苦手だから、マクロ撮影はあきらめるしかないです。

スナップショット的な感じで撮っていたら、いつの間にか24枚を使いきりました。

さて、ここからはデジタルに切り替えました。赤のトーンはつぶれやすいので、必ずRAWで撮るようおすすめします。
85mmを久しぶりに使っていないせいか、なかなかいいアングルが見つかりません。孤独に咲いている一輪の花は取りやすいですが、イメージした、「群れの中の一本」はなかなか難しいです。

ボケすぎるのもよくないので、少し絞ったF2.8やF4で撮っていきました。
日がだんだん暮れて、周りが暗くなってきました。85だと手ぶれが怖いので、フォクトレンダー40/1.2をアダプターにつけて、レンズを交換しました。
「そうだ、アダプターがあるから、接写もできる」
今さら気づいたかのかとため息をしながら、レンズのフォーカスリングを0.5mまで回して、一本の曼珠沙華に近づいていきます。真上から撮る正統派です。


やはり日本随一の曼珠沙華の公園で、この時期は人気が高いです。公園の一角で、屋台がずらりと並んで、高麗鍋とか、甘酒とかを売っています。私は眠気さましのため、コーヒーをいっぱいいただきました。
元気が戻ってきました。もう一回公園花の世界に入ります。今度は40mmでローアングルを挑戦しました。

帰り道
駅までの道にも曼珠沙華がたくさん咲いています。

なぜこの地にこんなにも曼珠沙華があるんだろうと思わずにはいられませんでした。昔の人はこの赤い世界を見たとき、美しいと思いながらも血まみれた戦場を思い出したかもしれません。
話がそれました。橋を渡っている間、川のほう覗いたら、白い曼珠沙華が咲いていました。白いのもあるんですね。

巾着田の住民は猫と一緒に生活しているではないかと思います。二匹にも出会ったのですから。性格は正反対ですが。下のこの子は性格の悪いほうです。

終わりに
高麗駅に再びついたのが5時半くらいでした。周りがだいぶ暗くなって、人影もすっかり少なくなっていたのです。

曼珠沙華をここまで撮ったのは初めてです。普通は一本や二本くらいしかないので、巾着田曼珠沙華公園のような満遍なく咲いているのは珍しいです。
美しいでありながら毒の入っている彼岸花ですが、カメラで捉えられたその姿はやはり何か足りないものがあります。足を運んで、自分の目と心で感じるのが最高でしょう!
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