フィルムスキャナーを選ぶときのチェックポイント

フィルムのデジタル化手法を前回の記事で検討しました。

結論として、フィルムスキャナーがおすすめです。また、フラットベッド型フィルム専用型の2種類とそれぞれの特徴も紹介しました。

今回は具体的に、どんなスキャナーがいいスキャナーなのか、選ぶときのチェックポイントはどんなところかを説明します。画質ユーザービリティの二つの面からそれぞれの注意点を解説していきます。

画質

フィルムのスキャンニングはフィルムの持っている情報を再現することが目的です。

Color depth(色の階調)は重要指標ですが、今ときのフィルムスキャナーはだいたい同じ数値になっているので、割愛します。気になる方は48bit(RGBごと16bit)の入力ができるかをチェックしましょう。

スキャナーの間、大きな差を開くのはダイナミックレンジ解像度です。

ダイナミックレンジ

フィルムスキャナーのコアな部分はデジタルカメラと同じく、センサーです。DMAXと表記されることもあります。

フィルムの上に明るい部分とくらい部分をどこまで再現できるかが大事です。それを決めるのがダイナミックレンジです。

通常3.0から5.0までの数字で表記され、大きければ大きいほどダイナミックレンジが広いです。

左:DMAX=4.0 右:DMAX=4.8
左下の桜の花びらに注目してください。左の方が白飛びしているが、右の方は飛んでいない

個人的には、ダイナミックレンジ≥4が合格ラインです。それより低い場合は露出のはみ出しが目立ちます。

解像度

デジタルカメラの画素数に例えられます。4000dpiや6400dpiのように表記されて、単位はdpiです。

dpiとはdot per inchの略称で、1インチあたりの画素数と考えていいでしょう。

通常、この解像度の数値は大きいほどフィルムのディテールを再現できますが、落し穴があります。

スキャナーの仕様に書かれたこの数値はあくまでスキャナーが得られる最大の画素数で、必ずしもフィルムの細部を写しているとは限りません

低画素の画像を拡大表示するのをイメージしてください。ディスプレイ上では大きくなったが(画素数が増えた)、ぼやけて見えるのです。

ぼやけて見えるとき

有効解像度がどれくらいかは、フィルムスキャナーとその設定によってかなり違います。詳しくは製品のレビューを参照したほうがいいですが、経験的に有効解像度は下の「ポイント」を参考にしてください。

  • ニコンのCoolscanシリーズ:表示解像度の97%
  • Plustek OpticFilmシリーズ:表示解像度の50%
  • フラットベッド型(エプソンやキャノン):表示解像度の10-20%

今の4Kディスプレイの画素数が800万くらいです。135フィルムをスキャンして、画素数が800万以上の結果を得るために、有効解像度は少なくとも2500dpiが必要です。

ユーザビリティー

スキャナーのユーザビリティーはスキャナーのか設計によってだいぶ違いますが、重要ないくつかをここで並べておきます。

スキャンスピード

フィルム一枚をスキャンするためにかかる時間のです。

フィルムスキャナーの解像度設定に依存します。高解像に設定した場合は遅くなるので、仕様に書いてある数字はどの解像度のもと得られたのかを注意する必要があります。

画質のいいスキャンを得るため、多重露出やマルチサンプリングを行う場合もあります。そのとき、一枚のフィルムに数回(設定可能)スキャンをしているので、数倍の時間がかかります。それも考慮に入れて、スキャンスピードをチェックしましょう。

フィルムスリーブやスライドのセットと交換の手間も考える必要があります。

フラットベッド型は一括で数本のフィルムスリーブをスキャンできます。バッチスキャンと呼ばれるやり方で、設定したら、全コマがスキャンできるまで放置できます。

フィルム専用型は複数スリーブ対応の機種が少なく、値段も高いです。一スリーブのバッチスキャンはできますが、スリーブ交換等再セットする手間はあります。

ICE機能

フィルムにはホコリや現像時についたキズがあります。それを赤外線とかの方法で識別してスキャンニング時除去する機能がこのICEです。

ホコリとスクラッチをついた昔のフィルム、ICEはそれらを自動的に除去する機能

この機能が本当に便利です。リタッチで細かいホコリの除去の手間が省けて、デジタル化の効率がだいぶ上がります。ユーザビリティの面では欲しい機能です。

サイズ

フィルムスキャナーは場所をとります。特にフラットベッド型はA4以上の面積を占めるうえ、カバーが上に開くので、設置場所を確保しないといけません。

135フィルムスキャン用のフィルム専用型は小さいのが多いです。フィルムの入れ方によって横長いものと縦長い物があります。フィルムホルダーにセットする必要のあるタイプはホルダーのためのスペースも確保しないといけません。

フィルホルダーの関係で前後の場所を確保する場合

騒音、フィルムホルダー、ソフトウェア

フィルムスキャンの騒音も気になるポイントの一つです。起動するとき、スキャニング中などかなりうるさく感じます。機種によって、騒音の出し方やボリュームも違うので、サイト内の詳しいレビューを参照してください。

フィルムホルダーとソフトウェアも一概に言えない部分があります。使いやすさや作り具合など、スキャンの画質まで影響するので、その機種のレビューで詳しく書きます。

135フィルムをセットするフィルムホルダー
きちんとはさめないものもある

まとめ

フィルムスキャナーを選択するときのチェックポイントを画質とユーザビリティーの両面で紹介しました。

フィルムのスキャンは工夫すればするほどいい結果が得られます。特に使うスキャナーの特性を把握することによって、自分に合っているものを選ぶのが大事です。

スキャナーの癖を知ることで、フィルムの種類によって使い分けたり、アクセサリーを買い足したり、ソフトウェアでチューニンするなり、フィルムのよさを最大限に引き出すことができます。

次回は私の一番よく使うフラットベッド型フィルムスキャナー、エプソンGTX900シリーズを紹介します。

では、楽しいカメラライフをお過ごしください!

参考記事(英語):

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