フィルムカメラの資産価値について

振り返ってみると、フィルムカメラに手をつけてから約10年経ちました。その間、さまざまなカメラを入手したり、または手放したりしました。売買するたび損得が発生します。今回は私の経験から、フィルムカメラの資産価値について話したいと思います。(ただし、投資目的ではなく、あくまでも趣味品として入れ替わるたび、できるだけ損しないという観点で考えていく)

結論から言うと、販売当時値段が高く、かつ「名機」と言われているカメラであれば、資産価値が高いです。

例えばライカM3が典型的です。2013年あたりの時、約10万円ほどで手に入るのですが、2023年の現在だと、16万〜20万円に値段が上がっています。もちろんフェアな比較をするには個体の状態やシリアル番号などを考慮する必要がありますが、グループとして比較する(例えば中古マーケットでの販売価格の中央値)手段が取れます。手元にデータはないですが、おそらく結果は1.5~2倍には上がったと思います。

ライカM3

これは特にハッセルブラッドやローライフレックスなど往年の名機に当てはまります。ハッセルブラッドだったら、500CMや503CX、ローライフレックスだったら2.8Fや3.5E。こういった機種を温存して数年経つと、値段はほぼ確実に上がります。インフレの要素を考慮に入れても、おそらく手放す時の損は少ない、もしくは若干得になる可能性もあります。

Hasselblad 500C/M

一方、ライカM5のような冷遇されがちな機種だと、M3ほどの値上がり幅はありません。10年経っても1.1~1.2倍程度です。

名機かつ測光やオートフォーカスなど利便性を持っているのであれば、資産価値の観点においてはもっと良いです。例えばライカM6が典型的で、10年で2~2.5倍ほど値上がりしています。Pentax 67IIや富士フィルム670シリーズもこれに当てはまります。近年急劇に人気を博したContax T3もそうです。ただ、利便性の向上は電子部品の搭載を意味する場合が多く、壊れた時の修理は難しくなる可能性が高いです。そのため、リスクを孕んでいることも購入時考慮に入れた方がいいでしょう。

ライカM6

最後、マクロ視点でまとめます。フィルムカメラの資産価値も当然需要と供給の規則に従います。供給は一部例外を除いて、減っていきます。一方需要は横ばいあるいはわずか上がる程度でしょう。必然的に「元々供給の少ないかつ需要のある機種 = 発売当時の値段の高い名機」の価値が上がります。これからフィルムカメラを購入するときの参考になれば幸いです。

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