このシリーズはフィルムとデジタルそれぞれの強みと弱みを把握した上、適材適所に使い分けることを目的としています。
今までフィルムとデジタルのそれぞれの強みとか弱みを話してきました。各回のリンクを下に貼っておきます。
最終回として、それぞれの特徴をまずまとめます。その上、私が今までどうフィルムとデジタルを使い分けてきたかを共有します。
デジタルとフィルムの特徴
デジタルとフィルムの特徴を以下のテーブルにまとめます。
デジタル | フィルム | |
感光剤 | CMOSセンサー | 銀塩 |
解像度 | 高い | 低い |
高感度性能 | 高い | 低い |
いい色の獲得 | 難しい | 簡単 |
ダイナミックレンジ | 広い | 狭い |
レンズ設計 | 複雑で重い | シンプルでコンパクト |
デジタルは効率がいい
デジタルカメラの強みは一言でいうと効率が高いことです。
高い解像度はクロップしても使えることを意味し、広いダイナミックレンジを持つことは露出の間違いを簡単に直せることです。
ピントがあっていないとか、手がぶれてしまったとかの失敗もすぐ確認できます。
なので、人に頼まれて何かを撮るとき、私はデジタルを選びます。失敗したら迷惑をかけてしまうからです。
夜景やバーのなかでの撮影もデジタルが有利です。高感度性能が真価を発揮するばかりでなく、極めて複雑な照明状況の下、ホワイトバランスの調整もデジタルがしやすいです。
デジタルの効率がいいという特徴は撮影スタイルにも影響します。
パシャパシャシャッターを切って、撮られた写真のなかの満足の一枚を選びだすというスタイルです。
特にスポーツとかの撮影は被写体を追っていきながら、バンバンシャッターを切ります。しかもシャッタースピードは一定上でないとぶれるから、高感度性能も必要です。デジタルの出番です。
フィルムは個性派
フィルムの強みは個性あふれる写真と撮影体験ができることです。
カラーフィルム、モノクロフィルム、ネガやポジ、違うフィルムは違う個性を持っていて、自分の好みで選べます。
センサーのカラーフィルターがもたらす問題は何回も話しました。ライカモノクロームのような特殊なカメラ以外、純粋に明暗の世界を楽しむにはフィルムしかできません。
クラシックカメラやクラシックレンズを使った撮影体験はもう一つの魅力です。
レンズの後玉は像面に近い方が画質がいいと言われています。しかし、それは入射光束が斜めになることを意味します。
フィルム時代に誕生したすばらしい広角レンズはだいたいそうで、フィルムでしか真価を発揮できません。
例えば、ツァイスのビオゴン(Biogon)設計のレンズはコンパクトで高画質です。レンジファインダーフィルムカメラと非常に相性がいいです。
安価で、気軽に中判カメラが楽しめるのもフィルムのいいところです。中判写真のボケは135より深みがあって、画像全体の情報量もより豊富です。
フィルム、カメラ、レンズの組み合わせで、自分なりの個性を表現できます。
まとめ
フィルムとデジタルの強みと弱みを紹介しました。
記録と表現の話に戻ると、デジタルは記録に向いて、フィルムは表現に向いていると思います。
もちろん両方とも工夫が必要で、その工夫で、すばらしい写真が撮れます。
自分の気分や撮りたいものによって、好きなカメラ、好きなレンズ、そしてデジタルかフィルムを使い分けることが一番楽しめるのではないでしょうか。
では、楽しいカメラライフをお過ごしください!
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